中古住宅を購入するとき、「頭金を入れて借入額を減らすべきか」「フルローンで手元資金を残すべきか」は迷いやすいポイントです。
わが家は、約2,700万円の築浅中古戸建てに対し、諸費用の一部を含めて2,760万円を借りました。金利は当初10年固定の年1.2%、返済期間は40年です。毎月の返済は約6万5,000円で、6月と12月はそれぞれ5万円を加算しています。
一般に、物件価格と同額まで借りる方法を「フルローン」、物件価格を超えて諸費用まで借りる方法を「オーバーローン」などと区別する場合があります。ただし、呼び方や取扱いは金融機関・商品によって異なります。本記事では、検索時に伝わりやすい「諸費用込みフルローン」という表現を使います。
入居から約1年半が経ちましたが、現時点で返済による家計の圧迫感はありません。前のアパートの家賃より毎月の返済額は低く、固定資産税を年換算して加えると、おおむね以前の住居費と同程度です。
一方、フルローンなら誰にでも余裕が生まれるわけではありません。借入額、金利、固定期間終了後の返済額、購入後に残る現金まで確認する必要があります。
この記事では、わが家がフルローンを選んだ理由、良かった点、注意点、繰上返済の方針を実額で紹介します。
結論:わが家はフルローンを選んだことを後悔していません。低めの金利で借りられ、借入額が世帯年収に対して無理のない範囲で、購入後の現金を残せたためです。ただし、現在の金利、固定期間終了後の条件、生活防衛資金を確認せずに「頭金ゼロなら買える」と判断するのは危険です。
わが家の住宅ローン条件
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 物件価格 | 約2,700万円 |
| 借入額 | 2,760万円 |
| 借入方法 | 諸費用の一部を含むフルローン |
| 金利タイプ | 当初10年固定 |
| 当初金利 | 年1.2% |
| 返済期間 | 40年 |
| 毎月返済 | 約6万5,000円 |
| ボーナス月加算 | 6月・12月に各5万円 |
| 年間返済額 | 約88万円 |
| 審査時の世帯年収 | 約700万円 |
| 借入額の年収倍率 | 約3.9倍 |
| 住宅ローン控除 | 利用中(わが家の適用期間は10年) |
年間返済額約88万円を審査時の世帯年収約700万円で割ると、単純な返済比率は約12.6%です。これは税金・社会保険料を引く前の年収に対する割合であり、管理費、修繕費、固定資産税などは含みません。
金融機関の審査に通る金額と、生活に余裕を持って返せる金額は同じではありません。わが家では、以前の家賃や購入後の維持費も含めて判断しました。
フルローンを選んだ2つの理由
契約時点では年1.2%で借りられた
契約時は、当初10年固定で年1.2%でした。手元の現金を頭金として減らすより、低めの金利で借りて現金を残すほうが、家計の柔軟性を保てると判断しました。
ただし、これは40年間ずっと1.2%という意味ではありません。当初10年固定は、固定期間が終わった後に適用金利や返済額が変わる可能性があります。10年後の選択肢や優遇幅は契約内容によって異なるため、契約書で確認が必要です。
購入後の現金を残したかった
住宅購入では、物件代以外にも登記、保険、引っ越し、家具家電などの支出があります。わが家でも、家具家電の購入や突然の出費に現金を使いました。
頭金を多く入れていたら、ローン残高は減っても、入居直後の現金余力は小さくなっていました。実際に生活を始めてから必要なものを判断できたため、手元資金を残したことは良かったと感じています。
物件価格以外にかかった約105万円と、ローンへ含めた費用・自己資金・一時的な手付金の違いは、「中古住宅購入の諸費用を実額でまとめた記事」で詳しく紹介しています。
入居1年半で感じる返済の負担
毎月の返済は約6万5,000円です。ボーナス月には5万円が加算されるため、年間では約88万円を返済しています。
現在の返済額は以前のアパート家賃より低く、固定資産税を年換算して加えると、住居費はおおむね以前と同程度です。そのため、入居から約1年半の時点では、家計が圧迫された感覚はありません。
ただし、戸建てには賃貸時代になかった修繕費があります。わが家は固定資産税・保険・暖房設備のメンテナンスに加え、将来の修繕に月1万円を積み立てています。ローン返済額だけで「家賃より安い」と判断しないことが重要です。
中古住宅の固定資産税、保険、修繕積立などは、「中古住宅の維持費」の記事で年換算しています。
物件価格より60万円多く借りたことへの考え
物件価格約2,700万円に対して、借入額は2,760万円です。差額は何千万円という総額に比べると小さく見え、契約時には強い不安を感じませんでした。
しかし、この感覚には注意が必要です。「2,700万円に対する60万円だから大したことはない」と考えると、諸費用を一つずつ検討しなくなる可能性があります。借りた60万円にも利息がかかり、金利が上がれば負担も増えます。
比較のため、追加の60万円を年1.2%・40年・元利均等で借りると仮定すると、毎月返済相当は約1,575円、返済総額は約75万6,000円、利息は約15万6,000円です。月単位では小さく見えても、長期間では負担が積み上がります。実際の金額は返済方式や金利変更、手数料などで変わります。
差額の割合だけでなく、何の費用を借りるのか、自己資金で払えるのか、借りた場合の利息はいくらかを確認するべきでした。
年1.2%が40年続くと仮定した概算
比較のため、2,760万円を年1.2%、元利均等、40年間同じ金利で返すと仮定すると、毎月返済に均した概算は約7万2,400円です。
| 概算項目 | 金額 |
|---|---|
| 毎月返済相当 | 約7万2,400円 |
| 40年間の総返済額 | 約3,477万円 |
| 利息総額 | 約717万円 |
| 10年後の残高 | 約2,189万円 |
わが家の実際の返済は毎月約6万5,000円に年2回の加算があるため、支払時期はこの試算と異なります。また、実際は当初10年固定であり、11年目以降の金利は確定していません。この表は将来の総返済額を示すものではなく、金利差の影響を考えるための参考値です。
住宅金融支援機構も、固定金利期間選択型は固定期間終了時に金利が見直され、返済額が増える場合があると案内しています。わが家も10年目までに、残高とその時点の金利で返済計画を見直す予定です。
10年固定終了後に金利が上がった場合の概算
10年後の残高を約2,189万円、残り期間を30年、元利均等返済と仮定した単純試算では、適用金利によって毎月返済相当は次のように変わります。
| 固定期間終了後の想定金利 | 残り30年の毎月返済相当 | 現在の概算との差 |
|---|---|---|
| 年1.2% | 約7万2,400円 | 基準 |
| 年2.0% | 約8万900円 | 約8,500円増 |
| 年3.0% | 約9万2,300円 | 約1万9,900円増 |
これはボーナス返済を均した単純試算で、将来の返済額を保証するものではありません。実際は固定期間終了時の残高、適用金利、優遇幅、返済方法によって変わります。
固定期間終了後の扱いは、金融機関や契約内容によって異なります。変動金利へ移行する商品もあれば、手続きによって再び固定金利を選べる商品もあります。
わが家では、10年固定終了時の適用金利と優遇条件を確認し、変動金利への移行、固定金利の再選択、他行への住宅ローン借り換えを比較する予定です。その際は金利だけでなく、事務手数料、保証料、登記費用、団体信用生命保険の内容、審査時点の年齢・収入・健康状態も確認し、諸費用を含めた総支払額で判断します。
住宅ローン控除中は繰上返済しない方針
わが家は中古の長期優良住宅を購入し、住宅ローン控除を利用しています。わが家の適用内容では控除期間は10年間です。
国税庁によると、令和4年から令和7年に入居した認定長期優良住宅などの中古住宅は、控除期間10年、控除額は年末残高等の0.7%で、年間限度額は21万円です。実際に控除できる金額は、取得対価、年末残高、所得税・住民税、適用要件などで変わります。
わが家は控除期間中に急いで繰上返済せず、手元資金を維持する方針です。ただし、「控除率0.7%よりローン金利1.2%のほうが高いから、必ず繰上返済すべき」「控除があるから返さないほうが得」と単純には決められません。控除を満額使えるか、繰上返済後の現金、手数料、今後の金利を含めて比較する必要があります。
60歳または65歳で完済を検討している
40年返済のため、契約どおりなら完済は約70歳です。現在は、60歳または65歳で退職金が入り、勤務収入が減るタイミングに残債を繰上返済する予定です。
ただし、退職金の全額を住宅ローンへ使うと、老後の生活費や医療費が不足する可能性があります。実際の繰上返済額は、退職時点の残高、退職金、年金見込み、生活費を確認して決めます。
40年返済を選んだ理由と、返済期間を長くして毎月の余白を確保した考え方は、「40年住宅ローンを選んだ理由」で紹介しています。
フルローンが向く人・慎重に考えたい人
向く可能性がある人
- 安定した収入があり、返済額に十分な余裕がある
- 頭金を入れた後ではなく、購入後も生活防衛資金を確保できる
- 低い金利で借りられ、総返済額を確認している
- 家具家電、税金、修繕など購入後の支出を見込んでいる
- 借金への心理的負担を理解したうえで管理できる
慎重に考えたい人
- フルローンにしなければ諸費用や生活防衛資金を用意できない
- 返済額が現在の家賃と同程度という理由だけで判断している
- 固定期間終了後の金利上昇に対応できない
- ボーナスが減ると返済が難しくなる
- 借金があること自体に強いストレスを感じる
- 頭金を入れても十分な現金を残せる
「手元にお金がないからフルローンにする」と「現金を残す戦略としてフルローンを選ぶ」は異なります。前者は購入後の支出に対応できない可能性があるため、物件価格自体を下げる判断も必要です。
契約前に確認したい5項目
- 返済額に固定資産税・保険・修繕積立を加えても家計に余裕があるか
- 頭金を入れる場合と入れない場合で、支払利息がいくら変わるか
- 固定期間終了後の基準金利、優遇幅、手続きはどうなるか
- ボーナスがなくても毎月の収入から返済を続けられるか
- 購入後に生活費6か月分など、自分で決めた現金を残せるか
フルローンの可否は「借りられるか」ではなく、「金利が変わっても、修繕が発生しても、生活を守りながら返せるか」で判断する必要があります。
まとめ:フルローンの価値は借入額ではなく、残した現金の使い方で決まる
わが家は、約2,700万円の中古住宅に対して諸費用込み2,760万円を借りました。当初10年固定・年1.2%・40年返済で、年間返済額は約88万円です。
入居から約1年半の現在、家計の圧迫感はなく、家具家電や突然の出費に対応できる現金を残せた点はメリットでした。そのため、契約当時の金利環境と家計条件であれば、もう一度選ぶとしてもフルローンを検討します。
一方、現在は金利環境が異なります。物件価格との差額を小さく感じても、借りたお金には利息がかかります。当初固定期間後の条件、住宅ローン控除、維持費、退職後の残債まで確認する必要があります。フルローンは契約時に一度判断して終わりではなく、固定期間終了前に、変動・再固定・借り換えを比較して返済計画を見直すことが大切です。
本記事はわが家の実体験であり、特定の借入方法を推奨するものではありません。ローン条件、税制、適用要件は個別に異なるため、金融機関、税務署、税理士などへ確認してください。

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