住宅ローンを返していると、「余裕資金があるなら、早く繰上返済した方がよいのでは」と考えることがあります。
しかし、住宅ローン控除を利用している期間と、控除が終わった後では、判断材料が異なります。両者を一緒に考えると、何を基準に行動すればよいのか分かりにくくなります。
わが家の方針は明確です。
住宅ローン控除が適用される10年間は、繰上返済をしません。
控除終了後は、その時点の金利、ローン残高、現金、家族の支出を確認し、一部繰上返済を検討する可能性があります。
今年の確定申告で計算された、わが家の住宅ローン控除額は約19万円でした。現在のローン残高は約2,680万円です。
この記事では、まず住宅ローン控除の仕組みと実際の控除額を整理し、そのうえで「控除期間中の10年間」と「控除終了後」の行動を分けて説明します。
※本記事は、筆者個人の住宅ローン契約と家計方針を紹介するものです。適用条件や有利・不利は、入居年、住宅区分、所得税・住民税額、金利、返済条件によって変わります。
わが家の住宅ローンと控除の状況
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 住宅 | 中古の認定長期優良住宅 |
| 当初借入額 | 2,760万円 |
| 現在残高 | 約2,680万円 |
| 返済期間・方式 | 40年・元利均等返済 |
| 金利 | 当初10年固定・年1.2% |
| 毎月返済 | 約6万5,000円 |
| ボーナス返済 | 6月・12月に各5万円加算 |
| 控除期間 | わが家は10年 |
| 確定申告で計算された控除額 | 約19万円 |
| 繰上返済条件 | 手数料無料・1万円から |
| 生活防衛資金 | 約150万円を維持する方針 |
わが家は30歳で40年ローンを組みました。返済期間を40年にした理由と35年との差は、35年と40年住宅ローンを比較した記事で詳しく紹介しています。
住宅ローン控除の仕組みを一次情報で確認
国税庁によると、令和4年から令和7年に入居した中古の認定住宅等は、一定の要件を満たすと、年末の住宅ローン残高等を基に10年間控除を受けられます。
わが家が該当する中古の認定長期優良住宅の区分では、主な内容は次のとおりです。
| 項目 | 制度上の内容 |
|---|---|
| 控除率 | 年末残高等の0.7% |
| 控除期間 | 10年 |
| 借入限度額 | 3,000万円 |
| 1年の控除限度額 | 21万円 |
| 主な税金の控除順 | その年の所得税、控除しきれない一部を翌年度の住民税 |
控除額は単純なローン残高だけではなく、住宅の取得対価、住宅区分ごとの借入限度額、補助金なども関係します。個別の控除額は、確定申告書や年末調整の書類で確認する必要があります。
また、住宅ローン控除の対象となる借入金は、原則として10年以上にわたり返済する契約であることが要件です。期間短縮型の繰上返済によって、当初の返済開始から短縮後の最終返済までが10年未満になると、その年以後は控除対象外になると国税庁が案内しています。
控除額約19万円は、どの税金から引かれるのか
今年の確定申告では、わが家の住宅借入金等特別控除額は約19万円と計算されました。
住宅ローン控除は、まずその年の所得税から差し引かれます。所得税だけで引ききれない額がある場合は、一定額まで翌年度の個人住民税から控除されます。
ただし、住民税から控除できる金額には上限があります。令和4年から令和7年に入居した制度では、所得税の課税総所得金額等の5%、上限9万7,500円です。また、実際に納める所得税・住民税が少なければ、計算上の控除額を全額使い切れない場合があります。
そのため、わが家でも「確定申告で約19万円と表示されたから、必ず19万円全額の税負担が減る」とは考えていません。
確認する書類は次の2つです。
- 確定申告後の還付額または所得税への反映
- 翌年度に届く住民税決定通知書の住宅ローン控除額
住民税への反映は、通常は翌年度の通知で確認します。上限や記載場所が分からない場合は、自治体の税務担当窓口へ確認するのが確実です。
わが家が控除期間中の10年間は繰上返済しない理由
1.年末残高を減らすと、控除額も下がる可能性がある
繰上返済をすると元金が減り、将来支払う利息を減らせます。一方、住宅ローン控除は年末残高等を基に計算されるため、繰上返済の時期や金額によっては控除額も下がります。
わが家の金利は年1.2%、控除率は0.7%です。この数字だけを見れば、繰上返済による利息削減が有利になる場面はあります。しかし、返済時期、実際に使える控除額、残存期間まで含めた正式な試算をしていないため、単純な差額だけで行動は決めません。
2.約19万円の控除を実際に確認できた
制度を一般論として知っているだけでなく、今年の確定申告で約19万円の控除額を確認できました。
この金額は家計にとって小さくありません。まずは所得税と翌年度の住民税へどのように反映されるかを確認しながら、控除期間を活用する方針です。
3.住宅修繕や収入減へ対応できる現金を残したい
戸建てでは、固定資産税、保険、給湯器、暖房設備、家電、修繕などの支出があります。わが家では住宅修繕に月1万円を積み立て、生活費約半年分として150万円程度の現金を残す方針です。
繰上返済した資金は、必要になっても簡単には取り戻せません。固定資産税や修繕費の実額は、中古住宅の維持費をまとめた記事で紹介しています。
4.NISAによる長期の資産形成を続けたい
現在はNISAへ月6万円を積み立てており、繰上返済専用の積立はしていません。
投資には元本割れの可能性があり、繰上返済による利息削減のような確実性はありません。それでも、現金、住宅、長期投資のどれか一つへ資金を偏らせないことを優先しています。
月5,000円から月6万円まで段階的に増額した経緯は、NISA積立額を増やした実体験にまとめています。
5.現在の返済額に圧迫感がない
毎月返済は約6万5,000円で、6月と12月は5万円を加算しています。固定資産税を年換算して加えると、以前のアパートの家賃とおおむね同程度です。
入居から約1年半の現在、返済による家計の圧迫感はありません。フルローンを選んだ理由と返済負担は、諸費用込み2,760万円を借りた実体験で紹介しています。
控除期間中の10年間に確認すること
「繰上返済をしない」と決めても、10年間何も確認しないわけではありません。わが家では、次の項目を毎年確認します。
- 年末時点の住宅ローン残高と適用金利
- 確定申告または年末調整で計算された控除額
- 所得税で実際に控除・還付された金額
- 翌年度の住民税決定通知書に記載された控除額
- 生活防衛資金150万円を維持できているか
- 住宅修繕、教育費、車などの大きな支出予定
- 当初10年固定の終了時期と、その後の金利条件
特に住民税は控除上限があるため、確定申告の計算結果だけでなく、翌年度の通知まで確認することが重要です。
ここからは別の判断|控除終了後に一部繰上返済を検討する
ここまでは、住宅ローン控除が適用される10年間の話です。
控除期間が終わった後は、年末残高を減らしても住宅ローン控除額へ影響しません。そのため、わが家でも一部繰上返済を改めて検討する可能性があります。
ただし、控除終了と同時に必ず返すとは決めていません。次の条件を確認します。
- 近い将来に大きな支出予定がない
- 返済後も生活防衛資金150万円と住宅修繕資金を維持できる
- 当初10年固定終了後の適用金利を確認できている
- 変動金利、固定金利の再選択、他行への借り換えと比較している
- 教育費、NISA、老後資金との配分に無理がない
契約上、当初10年の固定期間終了後は通常、変動金利へ移行します。固定期間の終了時には、借り換えも選択肢に入れ、金利、手数料、残期間を比較する予定です。
また、契約どおりなら完済は約70歳です。60歳または65歳の定年退職時には、収入、退職金、年金見込み、ローン残高を確認し、一部繰上返済または完済を検討する可能性があります。
まとめ|控除中と控除終了後を分けて判断する
わが家は、住宅ローン控除が適用される10年間は繰上返済をしません。
今年の確定申告で計算された控除額は約19万円でした。所得税で引ききれない分は翌年度の住民税から一部控除されますが、住民税側には上限があります。確定申告の数字だけで全額使えると判断せず、住民税決定通知書まで確認します。
控除期間中は、生活防衛資金150万円、住宅修繕資金、NISA月6万円を優先します。控除終了後は、固定期間終了後の金利、大きな支出、現金残高を確認し、一部繰上返済、借り換え、通常返済の継続を比較します。
住宅ローン控除中の行動と、一般的な繰上返済の損得は同じ話ではありません。まず自分の控除額が所得税と住民税へ実際にどう反映されているかを確認し、控除終了後の判断とは分けて考えることが大切です。

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