はじめに
住宅ローンを組むとき、返済期間を何年にするか悩む人は多いと思います。
返済期間を短くすれば、一般的に利息の負担を抑えやすくなります。一方で、毎月の返済額は大きくなります。
反対に、返済期間を長くすれば毎月の返済額を抑えられますが、完済までの期間が延び、総返済額も増えやすくなります。
私たちは築8年の中古住宅を約2,700万円で購入し、諸費用の一部を含めた2,760万円を40年返済で借りました。
毎月の返済額は約6万5,000円。借入時の条件では、当初10年間の金利が年1.2%です。
40年という返済期間だけを見ると、
返済期間が長すぎるのではないか
と感じる人もいると思います。
それでも40年を選んだのは、住宅ローンだけを早く返すことより、教育費や車、住宅修繕、資産形成に対応できる家計の余白を残したかったからです。
ただし、誰にでも40年返済をおすすめしたいわけではありません。
特に、返済期間を40年まで延ばさなければ希望額を借りられない場合は、住宅の予算そのものを見直す必要があると考えています。
この記事では、わが家が35年ではなく40年住宅ローンを選んだ理由と、長期返済を選ぶ前に確認したいことを紹介します。
※この記事は、筆者個人の住宅購入経験と考え方を紹介するものです。特定の返済期間や住宅ローン商品を推奨するものではありません。
私たちが新築ではなく築8年の中古住宅を選んだ経緯は、こちらの記事で紹介しています。
わが家の住宅ローン
わが家が組んだ住宅ローンの概要は、次のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 物件価格 | 約2,700万円 |
| 借入額 | 2,760万円(諸費用の一部を含む) |
| 返済方式 | 元利均等返済 |
| 借入時年齢 | 30歳 |
| 返済期間 | 40年 |
| 毎月の返済額 | 約6万5,000円 |
| 借入時の金利 | 当初10年間は年1.2% |
| 購入した住宅 | 築8年の中古住宅 |
| 購入時の家族構成 | 30代前半の夫婦・子ども1人 |
実際の返済額や総返済額は、借入時期、金利タイプ、返済方法、諸費用などによって変わります。
ここで紹介する金額は、あくまでわが家の契約内容を前提にしたものです。
35年と40年を同じ条件で比較
資料は残っていませんが、契約時には金融機関で複数の返済期間を試算してもらいました。ここでは違いを分かりやすくするため、借入額2,760万円・年1.2%・元利均等返済・ボーナス返済なし・金利が全期間変わらないと仮定して、35年と40年を比較します。
| 比較項目 | 35年返済 | 40年返済 | 差 |
|---|---|---|---|
| 毎月返済額 | 約8万510円 | 約7万2,428円 | 40年が約8,082円少ない |
| 総返済額 | 約3,381万円 | 約3,477万円 | 40年が約95万円多い |
| 利息総額 | 約621万円 | 約717万円 | 40年が約95万円多い |
| 30歳で借りた場合の完済年齢 | 65歳 | 70歳 | 5年遅い |
この概算では、40年返済にすると月額は約8,100円下がる一方、利息は約95万円増えます。つまり、40年返済は支払額を減らす方法ではなく、約95万円の追加負担と引き換えに、子育て期の月々の余白を確保する選択と捉えています。
実際のわが家は当初10年固定で、毎月約6万5,000円に加え、6月と12月に各5万円を返済しています。上の表は実契約の返済予定表ではありません。固定期間終了後の金利、ボーナス返済、手数料を含まない比較用の概算です。
住宅金融支援機構も、返済期間を延ばすと毎月返済額が少なくなる一方、総返済額は増えると案内しています。計算結果は金融機関の商品条件によって変わるため、契約前には正式な返済予定表で確認してください。
35年ではなく40年を選んだ理由
住宅ローンを検討したとき、35年返済も選択肢にありました。
返済期間を短くすれば元金が早く減り、同じ金利条件なら、利息を含む総返済額を抑えやすくなります。
それでも私たちは、月々の返済額を抑えられる40年返済を選びました。
一番の理由は、住宅ローン以外にも、これからまとまったお金が必要になると考えたからです。
わが家には、次のような支出があります。
- 子どもの教育費
- 将来的な第2子の出産や子育て
- 車2台の維持と買い替え
- 住宅設備の修繕
- NISAによる資産形成
- 病気や収入減少への備え
- 将来の住み替え
住宅ローンの返済だけを優先しすぎると、ほかの支出へ対応する現金が不足する可能性があります。
そのため、最短で返すことよりも、家計全体を無理なく維持できる毎月の返済額を重視しました。
期間を延ばさなければ借りられないなら、予算を見直す
40年返済を選んだ私が、特に注意したいと思うのは、
35年では希望額を借りられないから、40年に延ばす
という考え方です。
返済期間を長くすると、毎月の返済額は下がります。
しかし、住宅価格そのものが安くなるわけではありません。支払いを長期間に分散しているだけで、利息を含む総返済額は増えやすくなります。
また、40年の間には、教育費、車の買い替え、住宅修繕、病気、収入の減少など、契約時には正確に予測できないことも起こります。
私たちが40年返済を選んだのは、期間を延ばさなければ2,760万円を借りられなかったからではありません。
月々の固定費を抑え、現金や資産形成とのバランスを取るためです。
私個人の考えとしては、返済期間を限界まで延ばさなければ購入できない住宅は、家計に対して予算が大きすぎる可能性があります。
その場合は、
- 購入価格を下げる
- 自己資金を増やしてから購入することも検討する
- 希望条件を見直す
- 新築だけでなく中古住宅も検討する
- 購入時期を改めて考える
といった選択肢もあります。
大切なのは、借りられる上限まで借りることではなく、購入後も無理なく生活できる金額に収めることです。
30歳で借りた場合、60歳・65歳で残高はいくらか
40年返済で見落としやすいのは、月額だけでなく、退職が近づいた時点で残高がいくら残るかです。先ほどと同じ仮定で概算すると次のようになります。
| 年齢 | 35年返済 | 40年返済 |
|---|---|---|
| 60歳 | 約469万円 | 約819万円 |
| 65歳 | 完済 | 約422万円 |
わが家は60歳または65歳の退職時期に、退職金、現金、投資資産、教育費の状況を確認して繰上返済を検討する方針です。ただし、退職金を最初から住宅ローン返済へ全額使う前提にはしていません。老後の生活資金を残せるかを優先して判断します。
なお、この残高も年1.2%が全期間続き、繰上返済をしない仮定です。実際は10年固定終了後の金利によって変わります。
月々約6万5,000円に抑える意味
わが家の場合、住宅ローンの毎月返済額は約6万5,000円です。
ただし、この金額だけを見て、住宅費が安い、家計に余裕があると言い切ることはできません。
住宅を所有すると、ローン以外にも次の費用がかかります。
- 固定資産税
- 火災保険や地震保険
- 暖房や給湯などの光熱費
- ボイラーや住宅設備の修理
- 外壁や屋根のメンテナンス
- 家具や家電の買い替え
特に北海道では、暖房設備の故障や冬の光熱費も考えておく必要があります。
そのため、毎月返済できる限界まで住宅ローンへ使うのではなく、住宅関連費全体を含めて余裕を残すことが重要だと考えました。
月々の返済額を抑えた分が、すべて自由に使えるお金になるわけではありません。
それでも、現金を手元に残し、修繕や家族の支出へ対応しやすくする意味はあると感じています。
約95万円の追加利息をどう判断したか
同じ条件なら、40年返済は35年返済より総返済額が約95万円増える概算です。わが家では、この約95万円を単なる損得ではなく、子育て期の月額を約8,100円抑え、現金と資産形成を並行するためのコストとして考えました。
住宅金融支援機構の返済方法変更の案内でも、返済期間を延ばすと毎月返済額は少なくなる一方、総返済額は増えると説明されています。
ただし、月額差をそのまま使い切ってしまえば、残高が多く残るデメリットだけを負う可能性があります。40年を選ぶなら、浮いた金額を生活防衛資金、教育費、修繕費、資産形成のどこへ回すかを先に決める必要があります。
住宅ローンだけを最優先にしなかった
住宅ローンを早く返すために手元の現金を大きく減らすと、別の問題が起きる可能性があります。
例えば、住宅設備が故障したときに現金がなければ、修理費を別のローンや分割払いで準備することになるかもしれません。
車の買い替えや教育費が重なった場合も同じです。
住宅ローンの残高だけを減らしても、生活に必要な現金が不足していれば、家計全体が安定しているとは言えません。
そこで私たちは、
- 毎月の住宅ローンを返す
- 生活防衛資金を準備する
- 将来の修繕費を確保する
- NISAの積立を続ける
- 子どもの教育費に備える
という複数の目的を並行して考えました。
住宅ローンだけを最優先にするのではなく、家計全体の資金配分を考えた結果が40年返済でした。
月額を抑えた分はNISAと生活防衛資金へ
40年返済にして生まれた家計の余白は、使い切るのではなく、NISAと生活防衛資金の形成へ充てています。
- NISA:現在は月6万円を積み立てる
- 生活防衛資金:生活費約6か月分として150万円を現金で確保する
- 現金割合が大きく下がった場合:NISAを減額しても、月1万円程度は継続する方針
投資には元本割れがあり、将来の運用益も保証されません。そのため「40年にしてNISAへ回せば必ず得」とは考えていません。返済期間を長くするなら、月額差を何に使うのか決め、現金と投資の両方を残すことが重要だと感じています。
NISAを月5,000円から6万円まで増額した経緯と、家計に応じた増減基準は、NISAの積立額を段階的に増やした記録で詳しく紹介しています。
40年返済だからこそ定期的に見直す
40年住宅ローンを契約したからといって、必ず40年間、現在と同じ返し方を続けると決めたわけではありません。
今後は、次の条件が変わります。
- 妻の働き方や収入
- 子どもの人数
- 教育費
- 住宅設備の状態
- 車の買い替え
- 住宅ローン金利
- 現金と投資資産の残高
家計に十分な余裕が生まれれば、繰上返済を検討することもできます。
一方で、教育費や修繕費が増える時期には、現金を優先する判断もあり得ます。
大切なのは、40年という返済期間を決めた後に放置しないことです。
契約時の判断を正解として固定せず、家族の状況に合わせて定期的に見直していきます。
40年返済だからこそ金利見直しにも備える
わが家は、当初10年間を年1.2%とする固定期間選択型の住宅ローンです。
固定期間終了後に適用される金利は、現時点では分かりません。
現在は借入時より金利環境が変化しているため、今の月約6万5,000円という返済額が、40年間そのまま続くとは考えていません。
そのため、固定期間中に現金を確保し、複数の金利条件で返済額を試算しながら、必要に応じて繰上返済や借換えを検討するつもりです。
わが家の当初10年固定が終わった後は、通常は変動金利へ移る契約です。固定期間終了時には、そのまま変動金利を選ぶか、再固定するか、ほかの金融機関へ借り換えるかを比較します。諸費用込みで借りた理由や、固定期間終了後の2%・3%試算は、フルローンを選んだ実体験と10年後の考え方にまとめています。
40年住宅ローンを検討するときの確認項目
40年返済を検討するときは、少なくとも次の項目を確認したいところです。
- 35年返済と40年返済の月額差
- それぞれの総返済額
- 40年にしなければ希望額を借りられない状態ではないか
- 完済時の年齢
- 定年時点のローン残高
- 金利の固定期間と見直し時期
- 教育費が増える時期
- 住宅修繕が必要になる時期
- 毎月確保できる現金
- 繰上返済や借換えの条件
- 団体信用生命保険の保障内容
「毎月いくらになるか」だけではなく、将来どの時点で、どの程度の負担が残るのかまで確認する必要があります。
まとめ|家計全体で考えた結果が40年返済だった
私たちは、約2,700万円の中古住宅を購入し、諸費用の一部を含めた2,760万円を40年返済で借りました。
毎月の返済額は約6万5,000円です。
40年を選んだ理由は、住宅ローンの返済だけに家計を集中させず、教育費、車、住宅修繕、現金、資産形成にも対応できる余白を残したかったからです。
一方で、返済期間を長くすれば、利息負担は増えやすく、完済時の年齢も高くなります。
期間を延ばさなければ希望額を借りられないのであれば、長期ローンを組む前に、住宅予算そのものを見直した方がよいと私は考えています。
40年返済は、毎月の負担をなくす方法ではありません。
毎月の返済額を抑える代わりに、長期間にわたって家計と返済計画を管理する選択です。
私たちにとって重要だったのは、住宅ローンを最短で返すことではなく、住宅を購入した後も無理なく暮らし続けられることでした。
これからも家族や家計の変化に合わせて、返済計画を見直していきたいと思います。
※住宅ローンの金利、返済額、総返済額、繰上返済や借換えの条件、住宅ローン控除などは、金融機関、商品、契約内容、借入時期、個人の状況によって異なります。契約や返済方法を判断する際は、金融機関や専門家へご確認ください。



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