住宅ローンの団体信用生命保険(団信)は、基本保障だけでよいのか、がんや就業不能の特約まで付けるべきなのか迷いやすいところです。
わが家は2,760万円を40年で借りる際、死亡・高度障害を保障する基本の団信だけに加入し、金利上乗せの特約は付けませんでした。
理由は、保険は「家計にとって致命的な事態へ、できるだけ安く備える」という方針だったからです。会社員として利用できる公的保障や、もともと加入していた掛け捨て保険も含めて考えました。
ただし、これは誰にでも基本保障だけを勧める話ではありません。借入額、家族の収入、貯蓄、勤務先の制度、健康状態によって必要な保障は変わります。この記事では、私が特約を付けなかった理由と、今振り返って確認しておけばよかった点をまとめます。
結論:わが家は上乗せなしの基本団信を選んだ
契約内容は次のとおりです。
| 項目 | わが家の条件 |
|---|---|
| 名義 | 単独名義 |
| 契約時の年齢 | 30歳 |
| 借入額 | 2,760万円 |
| 返済期間 | 40年 |
| 金利 | 当初10年固定・年1.2% |
| 選んだ団信 | 死亡・高度障害の基本保障 |
| 団信による上乗せ金利 | なし |
| がん・三大疾病・就業不能などの特約 | 付けていない |
特約を付ければ保障は広がります。一方で、借入残高がある間は上乗せ金利の負担が続きます。私は保障の広さよりも、毎月の固定費を増やさない方を選びました。
借入条件やフルローンを選んだ背景は、住宅ローンのフルローンは後悔する?2,760万円を借りた実体験で詳しくまとめています。
団信は、万一のときに住宅ローン残高へ充当される保険
団信は、加入者が死亡した場合や契約で定められた状態になった場合に、保険金が住宅ローンの返済へ充てられる仕組みです。
住宅金融支援機構の新機構団信でも、加入者が死亡または所定の身体障害状態になった場合などに、保険金が債務へ充当されると説明されています。
ただし、「高度障害」「身体障害」「がん」「就業不能」といった言葉が同じでも、保険金が支払われる条件は金融機関や団信プランによって異なります。名称だけで判断せず、何日・どの状態が続いた場合に対象になるかまで確認する必要があります。
※制度や契約条件は金融機関・保険会社によって異なります。この記事の金利や保障内容は、わが家が契約した当時のものです。2026年9月3日時点の公的情報も確認しています。
契約時に提示された団信特約と上乗せ金利
私が契約した銀行では、基本団信に加えて次の選択肢が提示されました。
| 選択肢 | 上乗せ金利 |
|---|---|
| 死亡・高度障害の基本団信 | なし |
| がん団信 | 年0.05% |
| 就業不能特約 | 年0.1% |
| 三大疾病特約 | 年0.1% |
| 三大疾病・身体障害特約 | 年0.3% |
上乗せ幅だけを見ると、0.05%や0.1%は小さく感じます。私も何千万円という借入額を前にすると、最初は誤差のように見えました。
しかし、借入直後の残高を2,760万円として単純計算すると、初年度の上乗せ分はおおよそ次の金額です。
| 上乗せ金利 | 借入直後の残高で見た年額の目安 |
|---|---|
| 年0.05% | 約1万3,800円 |
| 年0.1% | 約2万7,600円 |
| 年0.3% | 約8万2,800円 |
これは「借入残高×上乗せ金利」で見た単純な目安です。実際の負担額は返済による残高の減少、金利の適用方法、固定期間終了後の条件などで変わります。それでも、年率ではなく円に直すと、特約を付けるか考えやすくなりました。
私ががん・就業不能・三大疾病特約を付けなかった理由
保険は致命的な事態へ最低限備える方針だった
わが家は、起こり得るすべてのリスクを保険で埋める考えではありません。家計への影響が致命的になる事態へ、できるだけ安く備える方針です。
死亡・高度障害で住宅ローン残高がなくなる基本保障は必要だと考えました。一方、特約の保障範囲を広げるために、長期間の利息負担を増やすつもりはありませんでした。
これは「特約は不要」という意味ではなく、わが家では上乗せ金利と得られる安心を比べた結果、基本保障を選んだということです。
会社員として利用できる傷病手当金も考慮した
就業不能特約を付けなかった理由の一つは、会社員として健康保険の給付を利用できる可能性があったことです。
協会けんぽの傷病手当金では、業務外の病気やけがで働けず、給与を十分に受けられないなどの条件を満たすと、連続する3日間の待期後、4日目以降が支給対象になります。支給額はおおむね標準報酬月額を基にした日額の3分の2で、支給開始日から通算1年6か月が上限です。
もちろん、傷病手当金だけで住宅ローンと生活費をすべて賄えるとは限りません。加入する健康保険や勤務先の休業制度、給与の支給状況も確認が必要です。自営業者など、同じ保障を前提にできない人もいます。
借入額そのものに余裕を持たせた
私が今も同じ基本保障を選ぶと思うのは、借入額を家計に対して無理のない範囲にした影響もあります。
特約を付けなくても安心というより、毎月の返済、生活防衛資金、既存の掛け捨て保険を合わせて考えました。どれか一つで完璧に備えるのではなく、家計全体で受け止められる範囲を決めた感覚です。
わが家が月25万円の生活費を基に現金150万円を残している考え方は、子育て世帯の生活防衛資金はいくら?150万円の実例で紹介しています。
団信に入っても掛け捨て生命保険は解約しなかった
団信へ加入した後、もともとの掛け捨て保険を解約するか少し迷いました。最終的には保険料が低額だったため、そのまま残しています。
団信で住宅ローン残高がなくなっても、家族の生活費や子どもの教育費まで現金で受け取れるわけではありません。団信と一般の生命保険は、同じ死亡保障でもお金の行き先が異なります。
- 団信:保険金が住宅ローン残高の返済へ充てられる
- 生命保険:契約内容に応じて受取人へ保険金が支払われる
私の場合は、団信へ入ったから生命保険をゼロにするのではなく、住宅費以外に残る支出を考えて最低限だけ維持しました。
通信費やサブスクを含め、削る固定費と残す保険をどう分けたかは、固定費見直しで月1万円削減した実例にもまとめています。
今振り返ると、団信プランの比較は打診すればよかった
契約時は、銀行が提携する団信から選ぶのが当然という雰囲気に感じ、提携外の団信を選べる可能性があるのか、銀行へ確認しませんでした。
今考えると、少なくとも次の点は銀行へ聞いてもよかったと思います。
- 銀行提携外の団信を選べるのか。その場合、住宅ローンの金利や審査条件が変わるのか
- 基本団信以外の保障が、具体的にどの状態で適用されるか
- 金利上乗せを円にすると、当初10年間でどの程度になるか
- ワイド団信など、健康状態に応じた別の選択肢があるか
- 住宅ローン審査と団信の加入審査がどう分かれているか
結果として私は今も基本団信を選びます。それでも、比較した上で選ぶのと、他に選べないと思い込んで選ぶのとでは納得感が違います。
団信の告知では、身体の病気だけを想定しない
私が申し込んだときは、現在の健康状態に加えて、過去3年以内の健康状態などを告知しました。該当するものがなかったため、手続きで困ることはありませんでした。
ただ、団信の告知対象は身体的な病気だけとは限りません。住宅金融支援機構の申込書兼告知書の例では、最近3か月以内の診察などに加え、過去3年以内の治療歴を確認する病気の一覧に、うつ病や神経症なども含まれています。
数年前、私は仕事のストレスで精神的にかなり厳しい時期がありました。結果的に医療機関へは行かず、その後は回復しました。ただ、もし通院や治療を受けていた場合は、申込時の質問内容によって告知が必要だった可能性があります。
ここで伝えたいのは、団信のために受診を避けた方がよいということではありません。体調が悪いときは治療を優先すべきです。その上で、住宅購入の直前だけでなく、早い段階から告知項目や加入条件を確認しておく方が、資金計画を立てやすいと感じました。
告知内容を省いたり、事実と異なる申告をしたりすると、保険金が支払われない可能性があります。告知の対象期間や病名、必要書類はプランごとに確認し、分からない場合は金融機関や引受保険会社へ相談します。
基本団信だけでよいか判断するための5項目
私は、次の5項目を同じ紙に並べると判断しやすいと思います。
- 基本団信と特約の支払条件
病名だけでなく、診断、入院日数、就業不能期間などの条件を確認する。 - 上乗せ金利を円にした負担
0.1%といった年率だけでなく、借入残高に当てはめて考える。 - 勤務先と公的保障
傷病手当金、休職中の給与、福利厚生を確認する。 - 貯蓄と既存保険
生活防衛資金、生命保険、医療保険と保障が重なっていないかを見る。 - 告知と加入時期
健康状態によって選択肢が変わる可能性を理解し、事実を正確に申告する。
基本団信を選びやすい人、特約を比較したい人
| 基本団信を選びやすい条件 | 特約を詳しく比較したい条件 |
|---|---|
| 借入額に余裕がある | 収入に対して借入残高が大きい |
| 生活防衛資金を確保している | 貯蓄だけでは長期休業を支えにくい |
| 勤務先・健康保険の給付を確認できている | 傷病手当金を前提にできない |
| 既存の掛け捨て保険を最低限残している | 家計を主に一人の収入で支えている |
| 上乗せ金利を払わない方針が明確 | 特定の病気や就業不能への不安が大きい |
単独名義のわが家では、私に万一があった場合の影響は小さくありません。それでも、借入額を抑え、現金と掛け捨て保険を残した上で、基本団信を選びました。
特約の安心感を否定しているわけではありません。私は保障を増やすより、上乗せ分を固定費にしない方が自分たちの家計には合っていると判断しました。
まとめ:保障の多さではなく、家計全体で決めた
わが家は2,760万円の住宅ローンで、上乗せ金利のない死亡・高度障害の基本団信を選びました。がん、就業不能、三大疾病などの特約は付けていません。
判断材料にしたのは、上乗せ金利、公的な傷病手当金、既存の掛け捨て保険、生活防衛資金、借入額の余裕です。
今も同じ保障を選ぶと思います。ただ、契約時に他の団信や支払条件をほとんど比較しなかった点は、少し確認が足りませんでした。
団信は一番手厚いものを選べば終わりではありません。私は次に住宅ローンを組むなら、上乗せ金利を円に直し、既存保険と公的保障を横に並べてから決めます。その方が、自分で選んだという納得は残ると思います。

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